結論からいうと、自動車税を滞納してもブラックリストに登録されることはありません。
ただし、自動車税を滞は納したままにすると、延滞金が発生するほか、車検を受けることができないなどのペナルティが生じます。
車検切れした車を公道で走らせると「6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金」の刑事罰が科せられるため、滞納どころの問題ではななるのでご注意ください。
本ページでは「自動車税を滞納した時のペナルティ」について解説します。
自動車税を滞納してもブラックリストには載らない?
結論から言うと、自動車税を滞納してもブラックリストには登録されません。
そのため、クレジットカードやローンの審査にも影響はありません。
そもそも、ブラックリストとは信用情報機関が管理する個人の信用情報に「異動」というマイナス情報が記録されることを指します。
信用情報を管理する3つの機関
銀行やクレジットカード会社、カードローン会社などの金融機関は、これらの機関のいずれか、もしくは複数に加盟しています。
各社は顧客の契約状況や利用履歴を共有しており、クレジットカードの滞納やローンの延滞があると、それが記録されて審査に影響を与えます。
つまり、信用情報に傷がつく=金融機関の審査で不利になる ということです。
さらに、61日以上の滞納が続くと「ブラックリスト入り」 となり、自己破産していなくても同様のペナルティを受けることになります。
※ブラックリストの情報は、完済後も最低5年間は消えません。
一方で、自動車税を滞納しても信用情報には一切影響がありません。
その理由は、自動車税や軽自動車税が県税・市町村税に分類されるためです。
県や市町村は、先ほど紹介した信用情報機関には加盟していないため、信用情報とは無関係なのです。
ただし、「ブラックリストに載らないから滞納しても大丈夫」というわけではありません。
滞納を続けると、延滞金が発生したり、車検を受けられなくなるといった別のペナルティがあるため、決して軽視しないようにしましょう。
自動車税を滞納するとどうなる?ペナルティはある?
自動車税は、毎年4月1日時点で車を所有している人に課される税金で、5月頃に納付書(通知書)が送られてきます。
原則として納付期限は5月31日までですが、もしこの日が土日・祝日にあたる場合は、翌平日が期限となります。
納付期限を過ぎたからといって、すぐに大きな問題が発生するわけではありません。しかし、滞納を続けると、以下のようなペナルティを受けることになります。
- 遅延損害金が発生する
- 車検を受けられなくなる
- 財産が差し押さえられる可能性がある
結論から言うと、延滞金が1,000円を超える前、もしくは車検を受けるまでに支払えば、自動車税を滞納しても特に何も起きません。
※自動車税は滞納してOKという意味ではありません。
1つずつ解説します。
遅延損害金が発生する
自動車税の延滞金は、1ヵ月以下の滞納の場合は2.5%、2ヵ月以上の滞納の場合は8.5%の金利がかかる仕組みです(和3年1月1日から令和3年12 月31日まで)。
つまり、6月中の滞納なら2.6%、7月以降は8.9%の利率で延滞金が発生するイメージです。
※県・市町村によって納付期限が異なる場合があります。
例えば、5月31日納付期限の30,500円の自動車税を3ヶ月間滞納した場合は以下のように延滞金が計算されます。
自動車税の延滞金
=30,500円×(0.025÷365×30日+0.088÷365×62日)
=518円
上記の計算の通り、3ヵ月滞納しても延滞教は518円にしかなりません(自動車税30,500円の場合)。
また、“自動車税の延滞料金は1,000円を超えてから請求される”という特殊なルールがあるため、1,000円に達しなければ支払い義務は発生しません。
そのため、実際に延滞料金が請求されるのは10月以降になるケースがほとんどでしょう。
※所有する自動車の排気量によって前後します。
車検を受けられなくなる
車検を受けるためには以下の3つの書類が必要になります。しかし、自動車税を滞納すると「自動車税納付証明書」が発行されず、車検を受けることができなくなります。
車検時に必要な書類
- 車検証
- 自賠責保険証
- 自動車納付証明書
このうち、1つでも書類が不足していると車検は受けられません。そのため、車検の時期が近い場合は、必ず事前に自動車税を納付しておきましょう。
万が一、車検が切れた状態で公道を走ると、以下のような厳しいペナルティが科せられます。
車検切れした車を公道で走らせると「6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金」の刑事罰が科せられます。また、違反点数は6点、30日間の免許停止処分になります。
車検切れの車を運転すると、滞納して延滞金が発生しちゃう…程度では済まなくなります。さらに、自賠責保険まで切れていれば「1年6ヵ月以下の懲役または80万円以下の罰金」と刑が重くなり、90日間の免許停止処分になります。
車検切れの車を運転する行為は法律違反、絶対にやめましょう。
財産が差し押さえられる可能性がある
自動車税を滞納し続けると、最終的に財産が差し押さえられる可能性があります。
ただし、クレジットカードやローンの滞納と比べると、ペナルティは比較的緩やかです。
自動車税を滞納した後、財産差押えに至るまでの流れは以下の通り。
滞納から財産差押えまでの流れ
- 支払い請求の督促状が届く
- 財産差押えを警告する勧告書が届く
- 財産差押えが実行される
通常、督促状は年に数回(6月・9月など)届き、それでも支払いをしない場合、
「○月○日までに納付しないと財産調査を行い、差押えを実行する」と記載された勧告書が送られてきます。
これは、いわば最終警告にあたるものです。
ちなみに、自動車税の滞納で財産差押えになる場合は裁判を介さないため、役所の担当者、もしくは警察官立ち合いのもと、車を動かせないようにタイヤロックがかけられます。
その後も、支払いに応じない場合は車両が競売にかけられる流れになるでしょう。
役所の手続きによって車両が競売にかけられた場合、売却額から自動車税+延滞料金(+その他費用)が支払われることになります。
役所によって競売にかけられた車は市場価格よりも低い価格で即売却されるため、自分で売却した場合に比べるとかなり安く買い叩かれると覚悟した方が良いでしょう。
車が引き上げられる、もしくは差し押さえになる前に一括査定に出してみることをおすすめします。
≫ 自動車ローンを滞納したらどうなる?車が引き上げられるのはいつ?
※車両引き上げは滞納期間3ヵ月以降に実行されます。
滞納した自動車税の納付方法
通常、自動車税は以下の5種類の方法で納付可能です。
納付方法 | 詳細 |
納付書払い | 自宅に届いた納付書を銀行・ゆうちょ・税務所・コンビニ等に持って行けば現銀払いで納付可能です。 |
クレジットカード払い | 都道府県税務署の専用サイトからクレジットカード払いによる納付可能です。ただし、約300円の手数料が発生します。 |
口座振替 | 引落口座を事前申込しておくことで口座振替による納付可能です。 |
ペイジー | 自治体によっては対応していない場合もありますが、納付書にペイジーの青色マークがあればペイジーで納付可能です。 |
電子マネー | コンビニで支払う場合に電子マネーでの納付可能です。 |
※スマホでご覧の方は左右にスクロールできます。
表に記した通り、自動車税は払い忘れを防止するために様々な納付方法に対応しています。
ただし、納付期限が過ぎてしまった場合は納付書を再発行してもらう、もしくは役所に行って直接納付する必要があります。
期限切れの納付書をもって役所に行けば、その場で再発行&納付が可能です。もし納付書を紛失した場合でも、運転免許書などの身分証明書があれば再発行してもらえます。
「期限切れの納付書を持って行くと怒られそう…」と思っている人もいるかもしれませね。でも大丈夫です。
住民票を申請するくらいの感じで納付書を再発行してくれるのでご安心ください。
自動車税は地方税法第15条によって、以下の条件に該当する場合は1年以内の分割納税が認められます。
- 納税者が震災、風水害、火災その他の災害を受け、又は盗難にかかつたとき
- 納税者もしくは生計を一にする親族が病気にかかり、又は負傷したとき
- 納税者がその事業を廃止し、又は休止したとき
- 納税者がその事業につき著しい損失を受けたとき
- 前各号のいずれかに該当する事実に類する事実があつたとき
上記にのいずれかに該当する場合は都道府県税務署に相談すれば分割納税することができます。
自動車税の金額どうやって決まる?還付金はある?
自動車税の納付は、4月1日午前0時時点で自動車を所有していた人に対して、同年4月~翌年3月までの1年間分を前払いします。
また、自動車税には減税制度もあれば逆に課税されるケースもあるため、人によって納付額が異なります。
さらに、廃車(登録抹消)した場合には時期に応じた還付金(払い過ぎた自動車税の返金)を受取ることができます。
- 自動車税は排気量によって税額が異なる
- 廃車(登録抹消)した場合は還付金が発生する
以下で詳しく解説しましょう。
自動車税は排気量によって税額が異なる
自動車税は所有する車の排気量と購入時期によって異なります。詳しくは以下の表でご確認ください。
排気量 | 2019年9月30日以前 に購入している場合 |
2019年9月30日以降 に購入している場合 |
1,000cc以下 | 29,500円 | 25,000円 |
1,000cc超 ~1,500cc以下 |
34,500円 | 30,500円 |
1,500cc超 ~2,000cc以下 |
39,500円 | 36,000円 |
2,000cc超 ~2,500cc以下 |
45,000円 | 43,500円 |
2,500cc超 ~3,000cc以下 |
51,000円 | 50,000円 |
3,000cc超 ~3,500cc以下 |
58,000円 | 57,000円 |
3,500cc超 ~4,000cc以下 |
66,500円 | 65,500円 |
4,000cc超 ~4,500cc以下 |
76,500円 | 75,500円 |
4,500cc超 ~6,000cc以下 |
88,000円 | 87,000円 |
6,000cc超 | 111,000円 | 110,000円 |
※スマホでご覧の方は左右にスクロールできます。
エコカー減税対象車は減税
2019年5月1日~2021年4月30日の期間に以下の車両を購入(新車登録)している場合は、25%~50%の減税、さらに一部の車は非課税となります。
ロコカー減税の対象車
- 電気自動車
- 燃料電池自動車
- ハイブリッド自動車
- 天然ガス自動車
- グリーンディーゼル車
なお、2021年4月1日~2023年3月31日に上記の車両を購入した場合は、約75%の減税が適応されるエコカー減税の延長期間が設けられています。
13年以上の車両は重量税が課税
新車登録から13年以上経過した車には、表の自動車税とは別に約15%の重量税が発生します。
なお、重量税は購入年から13年ではなく、車両が新車登録された年から13年と計算されるため、中古車で購入した車の場合は購入年から重量税が発生するケースもあるでしょう。
政府としては、ガソリン車を廃止することが狙いなのかもしれませんね。
環境に優しいエコカーは減税される一方で、古くなったガソリン車(年費が悪い車)は重税される流れですね。
ヨーロッパでは2035年からガソリンを使うハイブリッド車の販売禁止が決定しており、環境に優しい電気自動車の普及に努めています。日本もこの流れには逆らえないでしょう。
日本はヨーロッパほど強い規制はかけられていないものの、時間の問題かもしれませんね。つまり、これから車を購入するなら“電気自動車でなければ損する”でしょう。
廃車(登録抹消)した場合は還付金が発生する
もし自動車を廃車(登録抹消)している場合は還付金を受けるとることができます。
業者を通して廃車手続きを行うと業者が車の抹消登録手続きをした1~2ヵ月後に登録住所宛に「還付通知書」が届きます。
「還付通知書」に記載された指示に従い、指定の金融機関で手続きすることで還付金を受取ることができます。
還付金の計算例
排気量1500ccの車を6月に廃車した場合の還付金
34,500円÷12ヶ月×10ヶ月(6月~翌年3月までの期間)
=28,750円
→ 実際受け取れる還付金は28,700円
※100円未満を切り捨てた額が還付されます。
なお、還付金は廃車(登録抹消)した場合のみ受け取ることが可能です。車を売却しただけでは還付金を受取ることができないためご注意下さい。
自動車税の滞納に関するよくある質問
最後に、自動車税の滞納に関するよくある質問にお答えします。
今年の自動車税を「滞納しそう」もしくは「滞納してしまった」という人は参考にしてみてください。
- 自動車税を滞納したまま売却することはできる?
- 自動車税を滞納したまま廃車手続きすることはできる?
- 自動車税を滞納し続けると時効は成立する?
自動車税を滞納したまま売却できる?
基本的に、自動車税が未納のままでは車を売ることはできません。というより、未納の車を買い取ってくれる業者はほぼ存在しないと考えたほうがいいでしょう。
なお、車の買取時に業者が自動車税の納付状況を直接確認することはありません。
しかし、名義変更の手続きには「自動車税納付証明書」が必要になるため、未納が発覚し、トラブルになる可能性があります。
スムーズに売却するためにも、事前に自動車税を納付しておきましょう。
自動車税を滞納したまま廃車手続きは可能?
自動車税を滞納していても、車の廃車(登録抹消)手続きは可能です。ただし、廃車したからといって納税義務がなくなるわけではありません。
自動車税は毎年4月1日時点で車を所有している人に課税されるため、廃車手続きを完了するまでの期間分の自動車税は納める必要があります。
なお、廃車手続き完了後~翌年3月までの未使用期間分については還付金として返金されるため、所有期間分のみの支払いはできません。
※一度1年分を納付し、後から未使用分が還付される仕組みです。
自動車税を滞納し続けると時効は成立する?
自動車税は5年で時効が成立します。ただし、5年とは納付期限から5年間というわけではなく、役所(税務署)が最後に催促を行った日から5年です。
つまり、納付催促の督促状が届くたびに時効はリセットされるため、事実上、自動車税の時効が成立することはないでしょう。
まとめ:自動車税は滞納してもブラックリストには載らないが中が必要!
自動車税・軽自動車税は県税・地方税に分類されるため、請求元は県や市町村です。そのため、一般的な金融機関や貸金業者のように信用情報機関に登録されることはありません。
※県や市町村は信用情報機関に加盟していないため。
したがって、自動車税を滞納してもクレジットカードの申請やローン審査には影響しません。しかし、滞納を続けると「納付証明書」が発行されず、車検を受けることができなくなります。
車検を受けないとどうなる?
- 車検切れの車を公道で走らせると…
→ 6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金
→ 30日間の免許停止処分 - 車検切れ+自賠責保険切れの車を公道で走らせると…
→ 1年6ヵ月以下の懲役または80万円以下の罰金
→ 30日間の免許停止処分
つまり、車検を受けられない=重大なリスクを抱えることになるということです。
もし「自動車保険の納付が厳しい」さらに「自動車ローンの返済が苦しい」という場合は、車を一括査定に出して売却することを検討してみてください。
また、より負担を減らす方法として、安い中古車に乗り換えて月々の支払いを軽くするのも一つの手です。無理に滞納を続けるのではなく、今の状況に合った選択をすることが大切です!